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法定刑(罪名別の量刑一覧)

法定刑とは

法定刑とは、各種の罪において、法律で定められている”刑の範囲”のことをいいます。

例えば傷害罪の場合は15年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められておりますので、傷害罪で逮捕された場合に15年を超える実刑判決を言い渡されることはありません

逆に強姦罪の場合は3年以上の懲役と定められていますので、もし強姦罪として有罪になった場合には、原則として最低3年以上の懲役を言い渡されることになります。

一般的に、悪質な犯罪(罪名)には◯◯年以上といった下限を規定する形、比較的悪質でない犯罪(罪名)には◯◯年以下といった上限を規定する形の文言で定められています。

また、”◯◯年以上◯◯年以下の懲役”などといった、上限と下限が両方定められている罪名も多いです。例えば強制わいせつ罪の場合だと”6ヶ月以上10年以下の懲役”と定められています。

量刑とは

量刑とは、裁判所(裁判官)が、被告人に下すべき刑の種類や程度を決定する作業のことをいいます。

例えば強盗致傷罪で逮捕・起訴された被告人は、法定刑では”無期または6年以上の懲役”と定められています。

つまり、6年の懲役にすることも可能ですし、10年の懲役にすることも可能ですし、最大では無期懲役にすることも可能となります。

刑の種類や程度を決める際には、心身喪失などの減免措置が認められるか、酌量すべき情状があるかないか、刑を加重する要素があるかないかなど、様々な事情を考慮した上で判断します。

ちなみに、情状酌量など刑を軽減すべき一定の事情が認められた場合、最大で法定刑の4分の1まで刑を軽減することが可能になっています。

つまり強盗致傷罪で判決を言い渡される場合、本来ならば最低でも6年間の懲役になるところですが、被告人の情状次第では1年6ヶ月の懲役まで減軽することが可能となります。逆に言えば、強盗致傷罪としての刑を言い渡される場合、1年6ヶ月未満になることはあり得ません。

量刑とは、上記のような刑を決めるための一切の作業のことを指します。

少年の場合の注意点

未成年の場合は、原則として少年審判によって家庭裁判所から処分を言い渡されることになります。家庭裁判所の処分は「保護処分」と呼ばれ、「少年院送致」が最も重たい処分となります。

懲役や禁錮は刑務所への服役を指しますので、未成年の場合は当ページの法定刑や量刑といったものは原則関係ないのです。

ただし、未成年が重罪を犯した場合、「家庭裁判所による保護処分が相当でない」と判断された際には、「逆送(検察官送致)」と呼ばれる処分を下されることで、刑を決定するための管轄が家庭裁判所から地方裁判所へ移ります。

逆送されると、原則としてほぼ成人と同じ扱いを受けることになりますので、検察に起訴され、成人と同じような流れで”裁判”へとかけられます。

そこで有罪となり実刑判決を言い渡された場合には、成人と同じように刑務所(少年刑務所)へ服役することになるのです。

ただし裁判所(裁判官)による量刑決定の際には、少年法により法定刑が適用されないケースがあります。

18歳未満の場合、”死刑が相当”と判断された場合は”無期懲役”を科すことになり、”無期懲役が相当”と判断された場合は”10年以上15年以下の有期懲役(または禁錮)”に減軽することができるのです。

ここで注意する点は、死刑が相当と判断された場合は必ず無期懲役になります(18歳未満の死刑は100%あり得ない)が、無期懲役が相当と判断された場合に有期懲役に減軽するかどうかは裁判官の裁量に任されるということです。

罪名別の法定刑一覧(成人の場合)

住居侵入罪(じゅうきょしんにゅう)

3年以下の懲役または10万円以下の罰金
正当な理由がないのに、他人の住居(建造物全般や土地、船なども含む)に侵入すること。または退去の要求を受けたにも関わらず退去しないこと。※例:無断で学校等のプールに入ったりした場合などに適用。また、一般に「空き巣」と呼ばれる行為は、窃盗罪と住居侵入罪の2つの罪に問われる。

死体損壊罪(したいそんかい)

3年以下の懲役
死体などを損壊すること。※例:人の死体をバラバラに切断するなどして損壊した場合などに適用。

死体遺棄罪(したいいき)

3年以下の懲役
死体などを遺棄すること。※例:自宅で寿命などにより死亡した身内を、適切な処置を施さず放置した場合などに適用。

窃盗罪(せっとう)

10年以下の懲役または50万円以下の罰金
他人の物を断りなく、故意に盗むこと。※例:駐輪場に置いてある他人の自転車を無断で盗んだ場合などに適用。また、一般に「万引き」と呼ばれるものは窃盗罪に該当する。

詐欺罪(さぎ)

10年以下の懲役
他人を欺いて(騙して)財物を受け取ること。※例:「必ず儲かる投資の話があるから、投資してみないか」などと故意に嘘をつき、お金をだまし取った場合などに適用。

恐喝罪(きょうかつ)

10年以下の懲役
暴力や相手の弱みを握るなどして相手を脅迫し、財物を脅し取ること。※例:「浮気したことを配偶者に言うぞ」などと脅して金品を要求した場合などに適用。また、一般に「カツアゲ」と呼ばれるものは恐喝罪に該当する。

強制わいせつ罪(きょうせいわいせつ)

6ヶ月以上または10年以下の懲役
暴行または脅迫によりわいせつな行為をすること。※例:「騒いだら殺すぞ」などと脅迫した上で、性器を触ったりといった本番行為以外の性的行為に及んだ場合などに適用。

強姦罪(ごうかん)

3年以上の懲役
暴行または脅迫により女性を姦淫(かんいん)すること。女性の性器に、男性が自らの性器を挿入した場合(いわゆる本番行為)に限る。※例:「騒いだら殺すぞ」などと脅迫した上で性行為(本番行為)に及んだ場合などに適用。ただし、相手が13歳未満の女子の場合は、暴行や脅迫がなく、また同意があったとしても強姦罪が成立する。

強盗罪(ごうとう)

5年以上の懲役
暴行または脅迫により他人の財物を強取すること。※例:包丁などを持ってコンビニに押し入り、現金を脅し取った場合などに適用。

強盗致死傷罪(ごうとうちししょう)

強盗が人を負傷させたときは無期または6年以上の懲役、死亡させたときは死刑または無期懲役
(強盗致死傷罪は強盗致傷と強盗致死に分けられる)

強盗致傷罪(ごうとうちしょう)

無期または6年以上の懲役
強盗する過程において、相手を傷つけてしまうこと。他人の財物などを強取しようとした結果、過失で傷害を負わせること。※例:ひったくりをした際に、被害者が転倒してケガをした場合などに適用。

強盗致死罪(ごうとうちし)

死刑または無期懲役
強盗する過程において、相手を死なせてしまうこと。金品などを強取しようとした結果、過失で死なせてしまうこと。※例:ひったくりをした際に、被害者が転倒して死亡した場合などに適用。

強盗強姦罪(ごうとうごうかん)

無期または7年以上の懲役
強盗が女性を強姦すること。※例:強盗目的で民家に押し入り、物を奪った上で、家にいた女性を強姦した場合などに適用。

強盗強姦致死罪(ごうとうごうかんちし)

死刑または無期懲役
強盗が女性を強姦し、結果的に相手を死亡させること。※例:強盗目的で民家に押し入り、物を奪った上で、家にいた女性を強姦し相手が死亡した場合などに適用。

傷害罪(しょうがい)

15年以下の懲役または50万円以下の懲役
人の身体を傷害すること。※例:殴る蹴るなどの暴行を加え、相手にケガを負わせた場合などに適用。

暴行罪(ぼうこう)

2年以下の懲役または30万円以下の罰金など
暴行を加えたものの、相手を傷害するに至らないこと。※例:殴る蹴るなどの暴行を加えたが、相手にケガを負わせるほどのものでは無かった場合などに適用。

傷害致死罪(しょうがいちし)

3年以上の懲役
人の身体に傷害を負わせ、死亡させること。※例:殺意は無いが、殴る蹴るなどの暴行を加えた結果、相手が死亡してしまった場合などに適用。

強盗傷人罪(ごうとうしょうじん)

無期または6年以上の懲役
強盗する目的で、相手を傷つけること。他人の財物などを強取するための手段として、故意に傷害を負わせること。強盗傷害罪(ごうとうしょうがい)とも呼ばれる。※例:人に殴りかかり、ケガを負わせた上で物を奪った場合などに適用。

殺人罪(さつじん)

死刑または無期もしくは5年以上の懲役
人を殺害すること。※例:包丁などで人を刺し殺した場合などに適用。殺意が無かった場合は、原則として傷害致死に該当する。

強盗殺人罪(ごうとうさつじん)

死刑または無期懲役
強盗する目的で、相手を殺害すること。金品などを奪うための手段として、故意に殺害すること。※例:人を故意に殺害し物を奪った場合などに適用。

現住建造物等放火罪(げんじゅうけんぞうぶつとうほうか)

死刑または無期もしくは5年以上の懲役
放火により、人が住んでいる(またはそこに人がいる)建造物や汽車、電車、船などを焼損すること。※例:人が住んでいる民家に火をつけた場合などに適用。

非現住建造物等放火罪(ひげんじゅうけんぞうぶつとうほうか)

2年以上の懲役
放火により、人が住んでいない(またはそこに人がいない)建造物や汽車、電車、船などを焼損すること。※例:人が住んでいない空き家に火をつけた場合などに適用。

犯人蔵匿罪(はんにんぞうとく)

2年以下の懲役または20万円以下の
罰金刑以上の罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を蔵匿し、または隠避させること。※例:犯罪を犯して警察に行方を追われている容疑者を、自宅でかくまったりした場合などに適用。

証拠隠滅罪(しょうこいんめつ)

2年以下の懲役または20万円以下の罰金
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅・偽造・変造すること。または偽造・変造した証拠を使用すること。※例:配偶者が警察に逮捕されたため、事件の証拠となりそうなパソコン内データを破棄したりした場合などに適用。

薬物関連の法定刑

覚せい剤取締法違反罪

・覚せい剤原料の所持、譲渡、譲受け、使用
 =7年以下の懲役

・覚せい剤原料の輸入、輸出、製造
 =10年以下の懲役

・覚せい剤の使用、所持、譲渡、譲受け
 =10年以下の懲役

・営利目的での所持、譲渡、譲受け
 =1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金刑併科

・輸入、輸出、製造
 =1年以上の有期懲役

・営利目的での輸入、輸出、製造
 =無期または3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金刑併科

大麻取締法違反罪

・所持、譲渡、譲受け
 =5年以下の懲役

・営利目的での所持、譲渡、譲受け
 =7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金刑併科

・輸入、輸出、栽培
 =7年以下の懲役

・営利目的での輸入、輸出、栽培
 =10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金刑併科

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2013/12/13 - ご質問に関するお知らせ

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